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骨粗鬆症

部位:全身疾患   

当院は骨粗鬆症の予防と治療に力を入れています。

骨粗鬆症は、知らないうちに骨が弱くなり骨折しやすくなる疾患です。

「年をとったら骨が弱くなるのは当たり前、仕方ないこと」なんて思っていませんか?

たとえば大腿骨が骨折すると、折れていない人に比べて死亡率は7倍増加し、骨折後1年以内に10人に一人はお亡くなりになると言われています。「仕方ないこと」なんて言っていられませんよね。

幸い今は骨粗鬆症を治療できる時代になりました。

当院は、その人にあったオーダーメイドの骨粗鬆症薬を選び治療しています。薬剤では効果の出にくい方には、運動療法を行える環境を整えています。


それでは骨が弱くなる病気、骨粗鬆症について説明してゆきます。

まずは下の写真からご覧ください。

正常な大腿骨 34歳女性
内部が詰まっているように見え実際しっかりしています。
弱くなった大腿骨 73歳女性
骨の内部が黒く見え骨密度が低下しているように見えます。
上の骨の中身 上の骨の中身
骨の中の密度が高いです。 骨の中がスカスカです。

 

骨粗鬆症とはどんな病気でしょう。

ご想像のとおり、骨が弱くなる病気です。

しかし、骨が弱くなるのには2種類あります。

一つは骨のカルシウムが減って骨密度が低下するもの。

もう一つはカルシウム(骨塩)をくっつけているコラーゲンが低下するものです。

 

骨は鉄筋コンクリートによく例えられます。

コンクリート(カルシウム)だけではもろくて地震のときに折れてしまいます。そこで中には鉄筋(コラーゲン)が入って補強しています。

下の図で青い部分がコンクリートで骨ではカルシウムの部分に相当します。縦横に入っている黄色や赤い部分が鉄筋で骨ではコラーゲンに相当します。

この二つが協力して骨を強くしています。したがって、カルシウムが骨で減少しても、コラーゲンが弱くなっても骨は折れやすくなります。

病院で検査する骨密度というのは、カルシウムに相当する部分を計測しているものです。骨密度が低いということはコンクリートの部分が少ないということになります。したがって骨密度が低下している場合は、骨折を予防するために治療を受けましょう。

骨の強度を保つもう一つのコラーゲンですが、残念ながら現在簡単に測定することはできません。コラーゲンは骨の粘り強さに関係があります。

たとえば鉛筆の芯は固いですが折れやすいです。一方ボールペンの芯ならどうでしょう。固くはないですが折れにくいです。これが粘り強さです。

でも、いくら折れにくいといっても骨がボールペンの芯みたいにふにゃふにゃでは困りますので、実際の骨は固さと粘り強さの絶妙なバランスが必要です。

危険因子

すべてに当てはまるわけではありませんが、骨粗鬆症になりやすく骨折しやすい方はいらっしゃいます。

●低体重の方

痩せている方は骨粗鬆症になりやすいと言われています。

●身長が縮んだ方

25歳の時から身長が4センチ以上縮んだ方は骨粗鬆症による背骨の骨折を起こしていることがあります。

●喫煙

骨粗鬆症により骨折しやすくなります。女性ホルモンが低下するので特に女性は注意が必要です。

●多量のコーヒー

カフェインによりカルシウムが減少するといわれ骨粗鬆症を生じやすくなります。

●多量の飲酒

骨粗鬆症により骨折しやすくなります。

●ステロイド剤の使用

骨粗鬆症により骨折しやすくなります。

●親の骨折

親が骨粗鬆症により骨折した方は、骨折しやすいとされます。

●過去の手術

子宮や卵巣、腸管の摘出手術を受けた方は、骨粗鬆症になりやすくなる場合があります。

●運動不足

骨粗鬆症になりやすくなります。逆に運動を行うことで骨粗鬆症を予防できます。

 

骨粗鬆症の診断

日本に1100万人と推定される骨粗鬆症患者さんの診断は、骨密度の測定を中心に行われます。
2011年の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では骨密度は腰椎と両側の股関節の3か所で行うのが望ましく、このうちの最も低い数値をもって診断することになっています。

この数値が若いころと比べ70%以下になっているときが骨粗鬆症です。
(過去に転倒などちょっとしたことで骨折してしまったことのある方は、80%以下でも骨粗鬆症と診断されます。)

検診では腕の骨で骨密度を測定することがありますが、あくまでも検診用であり正確な診断や治療効果の判定には不向きといえます。

骨粗鬆症と診断された場合、骨密度が低下している理由が、骨を作っている量が少ない場合と、骨が壊れているのが多い場合の二つがあります。

もちろんその両方の場合もあります。

自分がどのタイプなのかは、検査で調べることができます。

当院では、やみくもにお薬を処方するのではなく、患者さんがどちらのタイプなのかを調べたうえで「骨を作るのを増やす薬」にするのか、「骨を壊れないようにする薬」にするのかを決定しています。これは大切なことだと思います。

薬剤による治療

固さ(骨密度)も、粘り強さも両方強化できればよいのですが、現在手軽に治療が始められるのは骨密度の改善です。

薬による治療は、骨密度のほか骨代謝マーカーといわれる指標を手掛かりに行ってゆきます。

薬剤は骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会によって推奨度が決められており推奨度の高いものを中心に使用してゆくことになります。

 

製 品 名

骨密度
増加

背骨の
骨折を
予防する

背骨以外の
骨折を予防
する

大腿骨の
骨折を予防
する

副甲状腺ホルモン

(フォルテオ・テリボン)

A

A

A

C

ビスホスホネート薬

フォサマック・ボナロン

A

A

A

A

アクトネル・ベネット

A

A

A

A

リカルボン・ボノテオ

A

A

C

C

SERM

エビスタ・ビビアント

A

A

B

C

活性型ビタミンD

アルファロール

B

B

B

C

ロカルトロール

B

B

B

C

エディロール

A

A

B

C

ビタミンK2製剤

グラケー

B

B

B

C

女性ホルモン剤

エストリール・ホーリン

C

C

C

C

プレマリン

A

A

A

A

カルシウム製剤

アスパラカルシウム他

C

C

C

C

カルシトニン

エルシトニン

B

B

C

C

※Aは強く勧められるもの。Bは勧められる。Cは勧められる根拠がないものです。
※表にある薬剤がすべてではありません。ほかにも良いお薬はたくさんあります。

カルシウム剤は盛んに宣伝されますが、評価はCです。効果があるとする論文もあるにはありますが、多くの論文ではその効果に否定的です。

しかし、カルシウムの不足は明らかに骨密度の低下を引き起こしますので、不足していると思われる方は積極的に摂取するようにしてください。

運動による治療

運動は骨粗鬆症の予防に有効です。

運動しないと筋肉は衰えます。骨も同じです。

骨に適度の負担がかかると体は骨が必要と感じて骨を丈夫にしようとします。

逆に宇宙空間に浮いている宇宙飛行士の場合は骨に負担がかからないので、体は骨が必要でないと感じて骨はなくなっていってしまいます。

宇宙飛行士が宇宙ステーションの中で一生懸命運動しているのは、骨や筋肉が衰えないようにするためですが、宇宙飛行士が一生懸命運動しても結局宇宙空間では骨は急速に減少したと報告されています。ところが、先の表にあったビスホスホネート剤を飲んで運動していた場合は骨の減少はなかったとのことです。運動とお薬が有効ということです。

じっとしていると骨が弱くなるので運動が必要なのですが、なにか選ぶとしたら手軽に行えるウォーキングがお勧めです。簡単にできて続けられて安全なように、運動靴を履いて平らな場所を30分から40分1週間に3から4回歩きましょう。糖尿病のある方は毎日歩いたほうが良いです。

運動としては、坂道の方が良いのですが心臓の悪い方や膝の悪い方にはかえって良くないので平地の歩行をおすすめします。

当院では、骨密度は低いけれど運動がなかなか一人ではできないという方のために、運動教室を開いています。ご希望の方は、お気軽にお尋ねください。