文字サイズ

疾患カテゴリー

初めて受信される方へ Youtube閲覧

診療カレンダー

各種疾患情報Disease infomation

痛風(高尿酸血症)

部位:全身疾患   

「風が吹いても痛い」と書いて痛風です。

痛風は本来おしっこから捨てなければならない尿酸という物質が体内に多くたまってしまう「高尿酸血症」がもとで発生します。

高尿酸血症が続いていると、血液中に溶けていた尿酸が関節の周囲に結晶として沈着してきてしまいます。

これがもとで急性の炎症発作を起こすのが痛風です。関節周囲が赤く腫れ強い痛みを生じます。発作の場所は足の親指やアキレス腱の周囲、手に多いですが、膝や肘にもおきることがあります。尿酸の結晶化は体温が低いと生じやすいため、手足の先のほうに発作がおきやすいと言われています。

写真は右足の痛風発作です。赤く腫れあがりとても痛そうです。

高尿酸血症は、痛風発作をおこさなければ無症状ですが、心疾患、脳血管疾患、腎疾患、脂質代謝異常症、メタボリックシンドロームなどと関係が深く放置すると多くの合併症を引き起こす原因になります。

高尿酸血症は、尿酸の生成が過剰であるか、排出が低下していることにより生じますが、日本人では尿酸排泄低下型が60%、産生亢進型が20%、混合型が20%をしめます。

人間には尿酸を分解する酵素がもともとありませんので、尿酸が蓄積しやすい生き物であるといえます。

尿酸とは

すべての細胞は分裂して子孫を残すための遺伝子を持っています。単細胞生物のアメーバですら遺伝子を持っていて分裂して増えてゆきます。

この遺伝子を構成する核酸という物質はプリン体やピリミジン体などからできていますが、この内のプリン体が代謝分解されると尿酸になります。

尿酸は血液中に溶けきらなくなると結晶化して関節周囲や腎臓に析出し悪影響を及ぼします。

最近プリン体が含まれないアルコール飲料が発売されているのはこのためです。

写真が尿酸結晶です。

尿酸の結晶はとがっているので針状結晶と言われます。いかにも痛そうです。

プリン体にどう向き合うか

前述のようにすべての細胞にはプリン体が含まれますので、食べ物のほとんどにはプリン体があるといえます。プリン体を多く含む食品を摂りすぎると当然体内のプリン体は上昇します。

だからと言って高尿酸血症の原因がすべて食べ物にあるわけではありません。

人体内では常に代謝の過程で多量のプリン体が作れらており、その量は食事から摂取する量よりかなり多いものです。

したがってプリン体を多く含む食品を食べないようにする必要はありません。

高プリン体食に偏らないようにすることは大切です。

食事の総カロリーを抑え、バランスよく食事することをおすすめします。

アルコールとプリン体

よくビールの飲みすぎは痛風の原因になるといわれます。

メーカーによってその量は異なりますが、確かにビールにはプリン体が含まれます。

含まれている量はそれほど多いとは思わないのですが、ビールなどアルコール飲料は一度に多量に摂取したり、習慣的に摂取する方がいらっしゃるのでそうした場合は量を減らした方が良いでしょう。

また、アルコールはそれ自身が代謝の過程で尿酸を増やしてしまうような働きがあるため、たとえプリン体含有量が0mgの焼酎でも多量に摂取すると尿酸値が上昇する可能性があります。

痛風発作をおこしたことのある方は、お酒の量を控えプリン体含有量の少ないものにすると良いでしょう。

一般的に蒸留酒の方がプリン体含有量はすくないです。

お酒に含まれるプリン体 (100gあたりのmg)

蒸留酒

焼酎

0.0mg

醸造酒

地ビール

16.6-6.8mg

ウイスキー

0.1mg

紹興酒

11.6mg

ブランデー

0.4mg

ビール

6.9-3.3mg

   

発泡酒

3.9-2.8mg

   

日本酒

1.2mg

   

ワイン

0.4mg

食品に含まれるプリン体

下の表の食品に含まれるプリン体の量をご覧ください。

干したものや内臓系の食品にプリン体が多いことがわかります。

だからと言って煮干しをやめる必要はありません。

表の量は、100gあたりの含有量ですから、乾いたものはどうしてもプリン体が多く見えてしまいます。

例えば下の表で煮干しのプリン体含量は大変多いですが、煮干し1本は5g以下です。

煮干しを100g食べれば746mgのプリン体を摂取することになりますが、1本では37mg以下です。

一方豆腐のプリン体含量は少ないですが、半丁食べると煮干し1本を超えます。

プリン体含有量(100gあたりのmg)

煮干し

746mg

タラバガニ

100mg

鰹節

493mg

豚肉(肩ロース)

95mg

干し椎茸)

379mg

ウナギ

92mg

あん肝酒蒸し

399mg

牛肉(肩バラ)

77mg

鶏レバー

312mg

ホタテ

77mg

マイワシ干物

305mg

ベーコン

62mg

イサキ白子

305mg

ソーセージ

50mg

大正エビ

273mg

えのきだけ

49mg

マアジ干物

246mg

白みそ

49mg

オキアミ

226mg

枝豆

49mg

牛レバー

220mg

コンビーフ

47mg

カツオ

211mg

もやし

45mg

マイワシ

210mg

醤油

45mg

サンマ干物

209mg

豆腐(冷奴)

31mg

クルマエビ

195mg

なめこ

28mg

スルメイカ

186mg

小麦粉(中力粉)

26mg

牡蠣

184mg

白米

25mg

明太子

159mg

筋子

16mg

マグロ

157mg

チーズ

6mg

生ハム

138mg

イクラ

4mg

タコ

137mg

牛乳

0mg

納豆

114mg

鶏卵

0mg

痛風を生じやすくする危険因子

すべてに当てはまるわけではありませんが、高尿酸血症になりやすかったり痛風発作をおこしやすい方はいらっしゃいます。

●肥満

急激な体重増加や肥満、特に若いころの体重増加。

●アルコール摂取

アルコールの種類によります。

●腎機能障害

尿酸が腎臓から排出されますので、腎機能が低下していると尿酸は増えやすくなります。

●高血圧症

高血圧と高尿酸血症は互いに合併しやすく、痛風の方はさらに高血圧を合併しやすくなります。

●利尿剤

サイアザイド系の利尿薬は尿酸値を高めます。

●糖尿病

病期によります。尿糖がでている段階では逆に尿酸は低下します。

●ストレス

ストレスが増加すると尿酸が上昇するといわれています。実際ストレスが多くなると痛風発作を生じる方がいらっしゃいます。

●過度のスポーツ

過度のスポーツでも尿酸は上昇します。

痛風と高尿酸血症が引き起こす疾患

腎障害・・・・・高尿酸血症・痛風には腎機能障害が高頻度に合併することが知られています。
尿路結石・・・尿路結石も高頻度に合併します。
高血圧症・・・高尿酸血症の存在は高血圧症を発生させやすくします。
メタボリックシンドローム・・痛風や高尿酸血症によく見られるとされています。
動脈硬化性疾患・・・高尿酸血症は、動脈硬化性疾患の危険因子の可能性が高いとされています。

薬剤による治療

薬剤の治療には、尿酸の排泄を促進するものと尿酸の合成を抑えるものがあります。

高尿酸血症のタイプにより使い分けることになります。

しかし、外来診療で患者さんの高尿酸血症が排泄低下型か産生亢進型か混合型かを特定するのは簡単なことではありません。

実際には、タイプの決定がなされずに治療が行われているケースが少なくないと思われます。

ガイドラインに沿った治療をうけるためには主治医に相談し自分の疾患タイプを調べてもらうと良いでしょう。

最近では、健康診断で尿酸値の上昇を指摘され医院を受診する方が増えましたが、痛風発作を生じて初めて医院を訪れる方も多くいらっしゃいます。

最初に発作を起こした場合、急激に尿酸を下げるのは良くないと言われています。

まずは、消炎鎮痛剤で発作による痛みと炎症をおさえ、それからゆっくりと尿酸値を下げてゆきます。

発作が強い時には、ステロイド剤を一時的に使用することもあります。

腎障害や尿路結石等を引き起こさないために継続的に尿酸値を適正値にコントロールすることが重要です。

運動や食事による治療

この疾患は生活習慣病ですので、生活習慣の是正は治療の重要なポイントです。

運動は週3回程度の軽い運動を継続して行うことがお勧めです。手軽なものとしてはウォーキング、自転車こぎ、スイミングなどです。

過激な運動は血液中の尿酸を上昇させかえって逆効果です。

心肺機能に問題のないかたは、ランニングなどの距離が長いと痛風になりにくいとされていますが、軽い適度な運動を続けている方のほうがさらに痛風発症の頻度が少なくなることがわかっています。

食事は、プリン体を多く含む食品を避けるよりも、摂取総カロリーを落とすことの方が効果があるとされます。

参考までに、食事でわかっていることは アルコールや肉類の摂取、砂糖が入ったソフトドリンクの摂取が多いと痛風の発症が多くなりますが、コーヒーは1日4杯を超えると痛風の発症は少なくなります。

ただ、コーヒーの摂取量が多くなると骨粗鬆症が進みやすくなるという研究結果もあります。

食品はすべて一長一短ありますので、偏ることなくバランスの良い食事を心がけ、肥満気味の方は総カロリーを減らすことが大切だと言えます。

また水分は尿酸を尿に排出しやすくさせますので、水分を大目にとることはおすすめです。